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障害者雇用の「IT職」は未経験でもなれる?単純作業で終わらないための学習戦略

「障害者枠でIT職に就きたい」 「未経験可の求人に応募しても、書類選考で落ちてしまう」

一口に「IT職」と言っても、その中身はプログラミングをする仕事から、PCを箱詰めする仕事まで様々です。 未経験から挑戦しようとして、「自分がどの職種なら狙えるのか」が分からず迷っていませんか?

結論から言えば、未経験からでもIT職への就職は可能です。 ただし、職種選びと準備を間違えると、スキルが身につかない単純作業を何年も続けることになります。

本記事では、障害者雇用における「IT職種の種類」を整理し、未経験から「技術者(エンジニア・デザイナー)」として採用されるために絶対に必要な準備について解説します。

【現実】障害者雇用の「IT職」は3つに分かれる

まず、求人票にある「IT職」の中身を解像度高く理解しましょう。

1. IT事務・サポート(未経験の採用枠:多)

  • 職種: データ入力、キッティング(PC初期設定)、ヘルプデスク、テスター。
  • 仕事内容: マニュアル通りのPC操作や設定、検証作業。
  • 難易度: 。PCの基本操作ができれば採用されやすい。
  • 注意点: スキルアップの天井が低く、単純作業になりがち。給与も上がりにくい。

2. 開発・制作(未経験の採用枠:少)

  • 職種: プログラマー、システムエンジニア(SE)、Webデザイナー、コーダー。
  • 仕事内容: システムの構築、Webサイトのデザイン・実装。
  • 難易度: 。専門スキル(言語やツール)が必須。「未経験可」とあっても、独学などで基礎知識があることが前提。
  • メリット: スキルが評価されるため、障害者枠でも一般枠と同等の給与を狙える。在宅勤務もしやすい。

3. 先端IT・分析(未経験の採用枠:極少)

  • 職種: データアナリスト、AIエンジニア。
  • 仕事内容: ビッグデータの分析、AIモデルの構築。
  • 難易度: 特高。高度な論理的思考力や数学的素養が必要。

未経験から「技術者(エンジニア・デザイナー)」になる唯一の道

あなたが目指すのが「1. IT事務」なら、基本的なPCスキルがあれば就職可能です。 しかし、「2. 開発・制作」以上の技術職を目指すなら、「未経験(スキルなし)」のままではほぼ100%不採用になります。

必須なのは「ポートフォリオ(成果物)」

実務経験がないあなたが、面接官に「採用したい」と思わせる唯一の方法。 それは、「私はこれを作れます」という動かぬ証拠(ポートフォリオ)を見せることです。

ITパスポートなどの知識系資格よりも、実際にコードを書いて動くアプリやWebサイトを作った実績の方が、100倍評価されます。 「教えてもらえればできます(受け身)」ではなく、「自分で調べて作れます(自走力)」を証明する必要があります。

未経験からポートフォリオを作る「4つの学習ルート」比較

では、どうやってそのスキルとポートフォリオを作るのか。 代表的な4つのルートを、「費用」「期間」「障害特性との相性」で比較します。

ルート1:独学(本・学習サイト)

  • 費用: ◎ 最安(数千円〜)
  • 期間: × 不明(自己管理次第)
  • 特徴: 自分のペースでできますが、エラーでつまずいた時に聞ける人がおらず、挫折率が90%と言われる修羅の道です。
  • 向いている人: 圧倒的な好奇心があり、自分で問題を解決するのが苦にならない人。

ルート2:ハロートレーニング(公的職業訓練)

  • 費用: ◎ 無料(テキスト代のみ)
  • 期間: 〇 短期(3ヶ月〜6ヶ月)
  • 特徴: 条件を満たせば「月10万円」の給付金を貰いながら通えます。ただし集団授業のためペースが早く、メンタルケアはありません。
  • 向いている人: 体力とメンタルに自信があり、短期間で詰め込みたい人。

ルート3:民間のプログラミングスクール

  • 費用: × 高額(30万〜80万円)
  • 期間: 〇 短期(3ヶ月〜)
  • 特徴: カリキュラムの質が高く、転職保証がある場合も。ただしスパルタ式が多く、障害配慮はありません。
  • 向いている人: お金に余裕があり、強制的な環境で追い込みたい人。

ルート4:就労移行支援(IT特化型)

  • 費用: ◎ 原則無料(前年度収入による)
  • 期間: △ じっくり(半年〜2年)
  • 特徴: 個別学習が中心で、臨床心理士などのメンタルケアがつきます。自分のペースでポートフォリオ作成まで伴走してもらえます。
  • 向いている人: 体調に波がある、または独学やハロトレについていく自信がない人。
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「独学だとサボってしまう」「集団授業は怖い」「お金はかけられない」 そんな方にとって、最もバランスが良いのがIT特化型の就労移行支援です。

メリット:プロの指導で「選考に通る成果物」が作れる

現役エンジニアやデザイナーの指導のもと、企業に見せられるレベルのポートフォリオを作成できます。 独自のWebサイトやアプリの制作経験は、面接において「実務経験に準ずる実績」として評価されます。

【職種別】未経験から目指せるIT特化事業所

自分がなりたい職種に合わせて、専門の訓練が受けられる場所を選びましょう。

プログラマー・エンジニア志望なら

  • 就労移行ITスクール
    • 特徴: プログラミング(Java/PHP/Python等)と資格取得に強い。
    • 狙い: 基礎から体系的に学び、資格とポートフォリオの両方で武装して就活に挑む。

Webデザイナー志望なら

  • atGPジョブトレIT
    • 特徴: Web制作(HP作成)の実践コースがある。
    • 狙い: 模擬案件を通じて「納期」や「クライアントワーク」を経験し、即戦力に近いデザイナーを目指す。

データ分析・AI志望なら

  • Neuro Dive
    • 特徴: AI・機械学習などの先端技術に特化。
    • 狙い: 高度なスキルを身につけ、未経験からでも大手企業の専門職枠を狙う(※高い論理的思考力が求められます)。
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丸腰で戦うな。「武器」を持って面接に行こう

未経験からのIT転職、特にエンジニアやデザイナーへの道は、楽ではありません。 しかし、しっかりとした「準備(スキルと成果物)」さえあれば、障害者枠であっても、専門職としてキャリアをスタートさせることは可能です。

「雇ってください」と頼むのではなく、「このスキルで貢献できます」と提案できる自分になるために。 独学か、訓練校か、就労移行支援か。自分に合った方法で「武器」を手に入れてください。

障害者雇用のIT職(未経験)に関するFAQ

Q. 30代・40代未経験でもエンジニアになれますか?

A. なれますが、20代に比べるとハードルは上がります。「ポテンシャル」ではなく「実力」を見られるため、独学だけで挑むよりも、就労移行支援などで半年〜1年しっかり訓練し、質の高いポートフォリオを作成してから応募する方が、結果として近道になります。

Q. 在宅ワーク(リモート)は可能ですか?

A. 可能です。IT業界は障害者雇用の中でもリモートワークの導入が進んでいます。特にプログラミングやWebデザインなどの「成果物ベース」の仕事は、出社しなくても評価しやすいため、在宅求人が豊富です。キッティングなどの「物理作業」がある職種は出社必須の場合が多いです。

Q. 職業訓練校と就労移行支援、どっちが良いですか?

A. 「短期間(3ヶ月など)で詰め込みたい」なら職業訓練、「じっくり(半年以上)自分のペースでスキルとメンタルを整えたい」なら就労移行支援がおすすめです。未経験からのエンジニア就職は学習時間がかかるため、焦らず学べる就労移行支援を選ぶ方が挫折しにくい傾向にあります。

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