就労移行支援でエンジニアになれる?元運営者が現実を解説

就労移行支援で目指せるエンジニア4職種と選び方。未経験から開発職への最短ルート

「就労移行支援に通えば、本当にITエンジニアになれるのか」

そう検索しているあなたが本当に知りたいのは、おそらく次の3つです。

  • 障害があっても、未経験からエンジニアとして雇われる現実があるのか
  • どの職種なら現実的に目指せるのか
  • 自分はどの事業所で何を学べばいいのか

結論から書きます。就労移行支援を経由してITエンジニアになることは可能です。 ただし「事業所選び」と「職種選び」を間違えると、2年通っても就職先がデータ入力だった、というケースが現実に起きています。

私は就労移行支援事業所でマーケティングを担当していました。元・運営側として、何を選べば失敗しないか、どこを見抜けば良い事業所か、を正直に書きます。

この記事でわかること
  • 障害者雇用枠での「IT求人のリアル」と未経験から目指せる4職種
  • 自分の特性(ASD・ADHD)に合うエンジニア職種が分かる
  • 目的別に「どの事業所で何を学べばいいか」が3分で分かる
目次

結論:未経験からITエンジニアになれる人・なれない人

最初に、自分が当てはまるかを確認してください。

  • 興味のある分野で1日4〜6時間×1年以上の学習を継続できる
  • ASD・ADHDの特性(こだわり・過集中・論理的思考)を活かしたい
  • 「対面業務よりPCに向き合いたい」という明確な希望がある
  • ポートフォリオ(成果物)を作る前提で取り組める
  • 20代〜30代前半(30代後半以降は別ルート推奨)
  • プログラミングそのものに興味が薄い
  • 「IT系がカッコいいから」が動機の人
  • 体調が安定せず、毎日2時間以上の学習が困難
  • 30代後半以降の完全未経験

障害者雇用×ITエンジニアの「求人のリアル」

希望論ではなく、最新の求人データを正直に伝えます。

職種障害者雇用枠の初年度年収求人数未経験採用率
Webデザイナー250〜350万円
バックエンド開発(SES)300〜400万円
インフラ・クラウド300〜400万円最高(30代も可)
AI・データサイエンティスト400〜600万円少(実力主義)
運営側から見た「IT求人の本当の入口」

「就労移行支援に通えば人気のWebデザイナーになれる」と思っている方が多いですが、Webデザイナーは未経験採用が最も狭き門です。

一方、バックエンド開発(特にSES=客先常駐)とインフラエンジニアは未経験採用に積極的で、30代でも可能性があります。「とにかくIT業界に入りたい」なら、この2職種から検討するのが最短ルートです。

あなたはどれを目指す?就労移行支援で目指せる4つのエンジニア職種

エンジニアと一口に言っても、作るものも適性も全く違います。「なんとなくカッコいい」で選ぶと失敗します。

1. Webデザイナー・フロントエンド(クリエイティブ系)

項目内容
作るものWebサイトの見た目・スマホ画面の動き
主な言語・ツールHTML/CSS、JavaScript、Photoshop、Illustrator、Figma
適性視覚的な変化を好む、飽きっぽい(ADHD傾向)
障害者雇用枠の年収相場250〜350万円スタート
未経験採用の現実最も人気で最も倍率が高い

未経験可の求人は少なく、就労移行支援経由だと最初は「バナー制作」「画像の切り抜き」など下流工程から始まるケースが大半です。勝ち抜くには面接官を黙らせるレベルのポートフォリオが必須。

学べる事業所
  • atGPジョブトレIT・Web
  • 就労移行ITスクール
  • Kaien

2. バックエンド開発(システム開発系)

項目内容
作るもの業務システム、Webサービスの裏側、決済機能
主な言語Java、PHP、Ruby、SQL、JavaScript
適性論理的思考・パズルを解く作業に没頭できる(ASD傾向)
障害者雇用枠の年収相場300〜400万円スタート
未経験採用の現実求人数が最多・SES経由なら入りやすい

「とにかくエンジニアとして業界に入りたい」なら、ここが最も安全なルートです SES(客先常駐)で実務経験を積み、3〜5年後に自社開発企業へ転職するのが王道のキャリアパス。

学べる事業所
  • atGPジョブトレIT・Web(ITエンジニアコース)
  • ディーキャリアITエキスパート
  • 就労移行ITスクール

3. インフラ・クラウドエンジニア

項目内容
作るものサーバー・ネットワーク・クラウド基盤の構築・監視
主な資格CCNA、LinuC、AWS認定資格、Azure
適性マニュアルに沿った正確な作業・夜勤監視に耐性
障害者雇用枠の年収相場300〜400万円スタート
未経験採用の現実30代・40代未経験からでも入れる唯一の職種

「年齢的に開発職は厳しい」という方の現実的な選択肢です 最初は夜勤ありの監視オペレーターからスタートする場合が多いですが、給与は安定。一度スキルが身につけば長く食える職種です。

学べる事業所
  • 就労移行ITスクール(CCNA等の資格対策あり)

4. AI・データサイエンティスト

項目内容
作るものビッグデータ分析、AI予測モデル、業務自動化
主な言語Python、R、SQL、Excel VBA
適性数学・統計知識、特定分野への過集中(研究肌)
障害者雇用枠の年収相場400〜600万円スタート(実力主義)
未経験採用の現実完全な実力主義・中途半端な知識では通用しない

唯一「障害者枠でも年収500万〜600万」のオファーが出る職種です。一方、難易度は最も高く、専門特化の事業所での1〜2年の本格訓練が必須。

学べる事業所
  • Neuro Dive

体験者のリアルな声:「就労移行支援経由でエンジニアになる」とは

実際に就労移行支援を経由してエンジニアになった人の体験談を、複数のソースから紹介します。

IT系就労移行支援に通った実体験:「エンジニア就職は楽ではない」

元就労移行支援に通所していた七枷と申します。様々なタイプの就労移行支援に体験に行き、IT特化型の就労移行支援に通った自身の体験を通じて、就労移行支援選びとその意義と実態を書いていこうと思います。多くの精神・発達障害者の方々に再現性のあるコンテンツだと自負しています。

出典:七枷さん・note「IT系就労移行支援でエンジニア就職するのは無理ゲーだという話」(2024年6月・一部抜粋)

40代発達障害・引きこもりからWebエンジニアに就職

40代IT業界未経験から、受託開発企業に入りWebエンジニアの仕事に就きました(非正規、障害者雇用)。未経験OKの研修制度がある会社を選び、実務経験を積んでいます。

出典:のんのんさん・note「40代発達障害者が引きこもりから復職してWebエンジニアとして働いた2年以上を振り返る」(2024年7月・一部抜粋)

目的別:自分はどの事業所を選ぶべきか

エンジニア志望者の目的別に、最適な事業所を整理しました。

スクロールできます
目指したいことatGP就労移行ITスクールディーキャリアITKaienNeuro Dive
Web・フロントエンド開発
バックエンド・システム開発
インフラ・資格取得対応
AI・データサイエンス
ポートフォリオ制作の支援
チーム開発の経験ができる
発達障害特化の支援

✅ 強み △ 可能・条件あり ❌ 不向き

目的別の選び方

Web制作・動画編集の本職を目指したい

atGPジョブトレIT・Web

デジタルハリウッド提携の教材、チーム制作カリキュラム、就職率98%(2023年5月〜2024年4月実績)。Web制作会社・Web制作職への就職を最短で目指すなら最適。週4日以上の通所が必須なので、生活リズムが整っている方向け。

ゼロから多言語に触れて適性を探したい

就労移行ITスクール

Java・PHP・Python・HTML/CSS・動画編集まで幅広い。全国40拠点以上で地方在住者でも通いやすい。IT職就職率44%・定着率96%。「どの言語が向いているか分からない」段階の方に最適。Adobe認定資格・ITパスポートの取得支援も。

本気で開発エンジニアになりたい(発達障害特化)

ディーキャリアITエキスパート

発達障害の特性を活かして開発エンジニアを目指す専門ブランド。HTML/CSS/JavaScript/PHPなどのWeb開発、Gitなどの開発ツールを実務レベルで扱う。「過集中をどうコントロールするか」など、エンジニア特有の特性課題への対処ノウハウが豊富。卒業生の約8割が専門職就職、定着率90%以上。

発達障害特性×事務系IT職で長く働きたい

Kaien

発達障害特化15年の老舗。「クリエイティブコース」では生成AI活用・Webデザイン・プログラミング・インフラ・DXエンジニアの4職種を体験できる。100種類以上の模擬職場業務で「就職」より「働き続けること」を最優先にした設計。事務職にITスキルを足したい人にも最適。

AI・データサイエンスの専門職を目指したい

Neuro Dive

日本初の先端IT特化型就労移行支援。AI・データサイエンス・RPA・データ分析の4領域に特化。現役データサイエンティスト・機械学習エンジニアが個別指導。IT職就職率76%(2025年9月時点)・定着率96.2%(2026年2月時点)。文系出身でも数学から指導してくれる。

エンジニア就職に必須の「1000時間」と「ポートフォリオ」

「事業所に通えば就職できる」と思っている方は痛い目を見ます。企業が見ているのはたった2点だけです。

「1000時間学習」の現実

一般的に未経験からエンジニア就職には約1000時間の学習が必要と言われます。1日4時間×週5日×1年で約1,040時間。就労移行支援の最長2年があれば余裕で確保できますが、ダラダラ通うだけでは到達しません。

1000時間の学習を「無料」でできるのが就労移行支援の最大価値

民間プログラミングスクールで1000時間相当の学習を受けると60〜100万円かかります。

就労移行支援なら9割の方が自己負担0円で同等以上の時間・環境を確保できます。「無料でPC・Adobe・開発環境が使える」のは独学・スクールにない強みです。

ポートフォリオ実例:未経験でも作れるもの

採用担当者がポートフォリオ(成果物)で見るのは「完璧さ」ではなく「自分で考えて作った形跡」です。

「基礎を理解している」「自分で調べて作れる」が伝わればOKです。GitHubにコードを公開しておくと採用担当者(現場担当者)が確認しやすくなります。

Webデザイナー志望のポートフォリオ例

  • 自己紹介サイト(HTML/CSS/JavaScript)
  • ToDoアプリ(基本機能:追加・削除・編集)
  • 既存サイトのリデザイン案(ビフォーアフター)
  • 簡単なブログサイト(WordPress構築)

▼ データ系志望のポートフォリオ例

  • 公開データセットの分析レポート(Python・Pandas)
  • 機械学習モデルの予測精度比較
  • データ可視化ダッシュボード(Tableau/Power BI)

バックエンドエンジニア志望のポートフォリオ例

  • 簡単なEC機能のシステム(PHP/MySQL)
  • 自動化スクリプト(Pythonでデータ処理)
  • API連携ツール(外部サービスとのデータ連携)

30代・40代未経験からの現実的なキャリア戦略

20代〜30代前半

開発職(プログラマー)を直接狙えます。バックエンド開発(SES経由)が最も入りやすい。

30代後半〜40代

いきなり開発職はハードルが高い。以下の2ステップが現実的です。

STEP
IT業界に入る(テスター・インフラ運用監視)

最初は「テストエンジニア」「インフラ運用監視(夜勤あり)」として業界に入ります。プログラミングを書く量は少ないですが、IT業界の業務フロー・用語を肌で学べます。年収300万円台が多いですが、ここから始めることで「IT業界経験者」になれます。

STEP
3〜5年後に開発職へキャリアアップ

業界に入ってから自学・社内研修でスキルを積み、3〜5年後に開発職へキャリアアップ。「未経験40代」より「業界経験5年の45歳」の方が圧倒的に転職市場で有利です。

高望みをして玉砕するより、まず業界に入る

「最初からWeb系自社開発企業」を狙って2年間応募し続け、結局どこにも採用されない方が多くいます。

それより「最初は条件が悪くてもIT業界に入る」方が、5年後に大きな差になります。最初の1社で人生が決まるわけではありません。

まずは無料見学で「自分の適性」を確かめてください

「Webデザインが向いているか、プログラミングが向いているか」はネット記事をいくら読んでも分かりません。

実際にHTMLを書いて画面に反映させる、Pythonでデータを処理する、Figmaでデザインを作る。これを体験してみて、「これなら2年続けられそう」と感じるかどうか。それが全ての答えです。

各事業所の見学は無料・キャンセル自由です。気になる事業所を2〜3社見学して、雰囲気を比べてください

就労移行支援とエンジニアに関するよくある質問(FAQ)

数学が苦手でもプログラマーになれますか?

Web開発や業務システム開発であれば高度な数学知識は不要です。それより「論理的思考(AならばB)」と「国語力(仕様書を読み解く力)」が重要です。ただしAI・データサイエンス分野では数学が必須です。

30代・40代未経験からでも目指せますか?

可能ですが戦略が必要です。20代と比べるとハードルが上がります。開発職への直接就職より、まずは「テストエンジニア」「インフラ運用監視」としてIT業界に入り、スキルを磨いてキャリアアップするルートが現実的です。

MacとWindows、どちらを覚えるべきですか?

志望業界によります。Web系企業はMac、業務システム・インフラ系はWindowsが多い傾向。就労移行支援事業所では両方用意されていることが多いので、志望に合わせて選びましょう。迷ったら求人数の多いWindowsから慣れる方が無難です。

ポートフォリオはどれくらいの完成度が必要ですか?

「完璧」より「自分で考えて作った形跡」が重要です。基礎機能(追加・削除・編集など)が動作すれば書類選考は通ります。GitHubにコードを公開しておくと採用担当者から評価されやすくなります。

障害者手帳がなくても利用できますか?

医師の診断書や自治体の判断で利用可能です。うつ病・適応障害・発達障害(ASD・ADHD)など、手帳を持っていない方も多く利用しています。

就労移行支援に通いながらフリーランスは目指せますか?

就労移行支援は「企業への就職」を目的とした福祉サービスです。フリーランスは制度上の対象外です。また実務未経験からいきなりフリーランスで案件を獲得するのは非常に困難です。まずは企業に就職して実務経験を積むのが現実的なルートです。

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この記事を書いた人

元・就労移行支援 マーケティング担当

事業所の運営側で、広報や集客実務を経験。 各事業所の『強み』と『宣伝文句』を客観的に分析・比較します。

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