就労移行支援

就労移行支援でプログラミングを習得|4つの領域とおすすめ事業所

「障害特性的に、対人業務よりもPCに向き合う仕事がしたい」

「就労移行支援に通って、未経験からITエンジニアになれるのだろうか?」

そのように考えて検索し、この記事にたどり着いた方は多いはずです。

結論から申し上げますと、就労移行支援を利用してプログラミングスキルを習得することは十分に可能です。

しかし、IT業界は広大であり、「どの言語を学ぶか」によって、目指せる職種も、選ぶべき就労移行支援事業所も異なります。

この記事では、ITエンジニアの仕事を大きく4つの領域に分類し、それぞれの特徴と、目的に合ったプログラミング特化の就労移行支援事業所を解説します。

プログラミングを学ぶ前に知るべき「4つの開発領域」

一口に「プログラミング」と言っても、作るものによって学ぶ言語が異なります。まずは自分がどの分野を目指したいかイメージしてみましょう。

1. システム・アプリケーション開発(バックエンド)

【求人数:最多 / 難易度:中〜高】

業務システムやWebサービスの「裏側の仕組み」を作る、ITエンジニアの王道です。求人数が最も多く安定していますが、論理的思考とチーム開発スキルが必須です。

  • 主な言語: Java, PHP, Ruby, C#
  • 働き方: システムエンジニア(SE)、プログラマー。

2. データサイエンス・AI開発

【求人数:専門職中心 / 難易度:高】

膨大なデータを分析してビジネスの意思決定を支えたり、AIモデルを構築したりする高度な分野です。数学的素養や論理構築力が求められます。

  • 主な言語: Python, SQL, R
  • 働き方: データアナリスト、データサイエンティスト。

3. 業務効率化・DX推進

【求人数:多 / 難易度:中】

ゼロからシステムを作るのではなく、プログラムを使って「業務を自動化」する仕事です。エンジニアと事務職の中間的な立ち位置で、多くの企業が求めています。

  • 主なスキル: Excel VBA, Power Automate (RPA), Python(基礎)
  • 働き方: 社内DX担当、IT事務、テクニカルサポート。

4. Web制作・フロントエンド

【求人数:中 / 難易度:低〜中】

Webサイトの「見た目」を作る仕事です。書いたコードがすぐに画面に反映されるため、視覚的な変化を楽しめる方に適しています。

  • 主な言語: HTML, CSS, JavaScript
  • 働き方: Webコーダー、フロントエンドエンジニア。

就労移行支援でプログラミングが学べる事業所5選【目的別】

ここからは、上記の領域に対応した代表的な5つの就労移行支援事業所について、それぞれの強みと対応言語を解説します。

atGPジョブトレIT:システム・Web開発

障害者転職エージェント大手の「atGP」が運営する、Webエンジニア育成に特化した事業所です。

  • 対応言語: Java, PHP, HTML/CSS
  • 特徴:HTML/CSSから、JavaやPHPを用いた本格的なシステム開発までカバーしています。最大の特徴は「模擬プロジェクト」です。チームで役割分担をして開発を行うカリキュラムがあり、実際の現場で求められる「チーム開発」の作法も学べるため、開発職への就職に強いです。

Neuro Dive(ニューロダイブ):データ分析・AI開発

「既存の事務職レベルでは物足りない」「専門職としてキャリアアップしたい」という層に向いた、高度IT特化型の事業所です。

  • 対応言語: Python, SQL, Tableau
  • 特徴:プログラミングを用いてビジネス課題を解決する「高度IT人材」の育成に特化しています。PythonやSQLを用いたデータ処理だけでなく、BIツールによるデータの可視化や機械学習モデルの構築など、企業の実務レベルの課題に取り組みます。

Kaien(カイエン):業務効率化・DX

発達障害に特化したパイオニアであり、「現場で使えるスキル」を着実に身につけられる点が特徴です。

  • 対応言語: Python, SQL, Excel VBA
  • 特徴:「クリエイティブコース」では、Pythonなどの基礎に加え、Excel VBAやPower Automate(RPA)を用いた「定型業務の自動化」スキルの習得に定評があります。プログラミングスキルを「開発」ではなく「効率化」に活かし、事務職以上の価値を出せる人材を目指せます。

manaby(マナビー):Web制作・在宅就労

「一人で集中して学びたい」「在宅ワークを目指したい」というニーズに応える事業所です。

  • 対応言語: HTML/CSS, JavaScript
  • 特徴:独自のeラーニングシステムが充実しており、通所だけでなく在宅訓練のノウハウが豊富です。高度なシステム開発言語よりも、HTML/CSSコーディングの習得に重点を置いており、Web制作スキルを武器に「在宅就労」を目指すルートが確立されています。

就労移行ITスクール:多言語対応・適性探索

全国展開しており、プログラミング言語を幅広く扱っている事業所です。

  • 対応言語: Java, PHP, Python, HTML/CSS
  • 特徴:扱っている言語数が多く、初心者がいろいろな言語に触れながら適性を探せる環境です。システム開発(Java/PHP)からWeb制作(HTML/CSS)、分析(Python)まで幅広くカリキュラムを用意しているため、「どの領域が自分に合うか分からない」という未経験者が、実際にコードに触れながら方向性を決めるのに適しています。

【比較表】就労移行支援ごとの学べるプログラミング言語一覧

ITスキルは基礎部分で共通しているため、複数の事業所で同じ言語を扱っていますが、「習熟度」や「目的」には明確な違いがあります。

事業所名学べる主な言語・スキルこんな人におすすめ
atGPジョブトレITJava, PHP, HTML/CSSチーム開発の作法を学び、安定したシステム開発やWebエンジニア職に就きたい方。
Neuro DivePython, SQL, Excel VBA, RPA高度なデータ分析スキルを身につけ、専門職としてキャリアアップしたい方。
KaienPython, SQL, Excel VBA, RPAプログラミングを活用して、事務職以上の価値(効率化・自動化)を出したい方。
manabyHTML/CSS, JavaScript,自分のペースでコツコツ学び、Web制作スキルで在宅就労などを目指したい方。
就労移行ITスクールJava, PHP, Python,幅広い言語から自分に合う領域(システム、Webなど)を探したい方。

太字は特にその事業所が強みとしているメイン領域です。

失敗しないコツは「言語」と「環境」の相性確認

就労移行支援でプログラミング学習を成功させる鍵は、「自分が苦痛なく続けられる領域を選ぶこと」に尽きます。

「論理的なJavaよりも、視覚的なHTMLの方が楽しい」「一人で黙々と分析するPythonが性に合っている」といった脳の適性は、実際に手を動かしてみないと分かりません。また、通所する事業所の雰囲気が「静か」か「活発」かも、継続学習には重要な要素です。

迷っている時間はもったいないです。まずは気になった事業所の「見学」や「体験利用」に参加し、以下の2点を確認してください。

  1. 実際のカリキュラム教材を見て、興味が持てそうか?
  2. 教室の環境(音、光、人の距離感)は自分にとって快適か?

自分に合った環境さえ見つかれば、未経験からでもエンジニアとしてのキャリアは確実に開けます。まずは小さな一歩を踏み出してみましょう。

就労移行支援とプログラミングに関するよくある質問 (FAQ)

Q. 就労移行支援でプログラミングを学んでフリーランスになれますか?

A. 制度上は可能ですが、推奨はされません。就労移行支援は原則として「企業への就職」を目的とした福祉サービスだからです。また、実務未経験からいきなりフリーランスで案件を獲得するのは非常に困難です。まずは企業に就職して実務経験を積むのが現実的なルートです。

Q. プログラミング未経験でも就労移行支援で習得できますか?

A. 可能です。多くの利用者が未経験からスタートしています。ただし、向き不向きはあるため、「就労移行ITスクール」のように多言語に触れられる場所や、「manaby」のように自分のペースで進められる場所で、まずは基礎を触ってみて適性を判断することをお勧めします。

Q. 就労移行支援でプログラミングを習得する期間は?

A. 基礎習得に3〜6ヶ月、応用・ポートフォリオ(作品集)作成に3〜6ヶ月、就職活動に3〜6ヶ月程度かかるのが一般的です。焦らず1年から1年半じっくり通う方が、高いスキルレベルで就職できる傾向にあります。

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