「ITスキルを身につけて、条件の良い企業に就職したい」
「でも、IT特化の就労移行支援が増えすぎていて、どこが良いのか分からない…」
Web制作、データ分析、プログラミング…IT就労移行支援といっても、事業所によって「学べるレベル」や「得意な領域」は異なります。ここを間違えると、「簡単すぎて意味がなかった」あるいは「レベルが高すぎてついていけなかった」というミスマッチが起きます。
この記事では、数ある事業所の中から「本当に就職に強いIT特化の5社」を厳選。
単なるランキングではなく、あなたの「目指すキャリア」と「今の課題(体調やスキル)」にマッチする事業所が必ず見つかるよう、徹底比較しました。
失敗しないIT就労移行支援の選び方「3つの基準」
「交通費が出るか」「ランチが出るか」といった条件も大切ですが、IT就職を目指すなら、それ以上に確認すべき絶対的な基準があります。
1. 「開発」か「制作」か?目指す職種で選ぶ
IT職種は大きく分けて「論理系(システム・分析)」と「視覚系(デザイン・Web制作)」があります。
- 論理系(Java, Python, RPA): システムエンジニア、データアナリスト、DX推進。年収は高いが論理的思考が必須。
- 推奨: atGPジョブトレIT, Neuro Dive, Kaien
- 視覚系(HTML, Adobe): Webデザイナー、コーダー、動画編集。直感的に作業できるがセンスも問われる。
- 推奨: manaby, 就労移行ITスクール
2. 「通所」か「在宅」か?環境で選ぶ
- 通所型: 毎日決まった時間に電車に乗って通う。生活リズムを整え、オフィスワークに慣れる訓練になる。
- 在宅型: 自宅からZoomなどで受講する。通勤ストレスがなく、対人不安があっても安心して学習できる。
- manabyやKaien(オンライン)が対応していますが、自治体の許可が必要な場合があります。
3. 就職実績の「質」を見る
単に「就職率○○%」という数字だけでなく、「どんな企業に、どんな職種で就職しているか」が重要です。
「IT特化に通ったのに、就職先は倉庫の軽作業だった」というケースも少なくありません。この記事で紹介する5社は、エンジニアやクリエイターとしての専門職就職実績が豊富な事業所のみを厳選しています。
ITスキルが学べる就労移行支援おすすめ5選【比較表】
まずは、代表的な5つのIT特化事業所を一覧で比較します。
| 事業所名 | 学べる主なスキル | こんな人におすすめ | 対応エリア |
| atGPジョブトレIT | Web/システム開発 (Java, PHP) | 開発エンジニアとしてチームで働きたい方 | 東京・神奈川・大阪 |
| Neuro Dive | 先端IT (Python, Tableau), RPA | 高度専門職でキャリアアップしたい方 | 東京・神奈川・大阪・福岡 |
| Kaien | 業務効率化 (RPA, VBA), IT全般 | DX人材・IT事務として貢献したい方 | 東京・神奈川・大阪・オンライン |
| manaby | Web制作, デザイン (HTML/CSS) | 在宅ワークやWebデザインを目指したい方 | 全国各地(東北・関東・関西・九州) |
| 就労移行ITスクール | クリエイティブ (Adobe, 動画), 多言語 | 動画・デザインや資格取得を目指したい方 | 全国各地 |
1. atGPジョブトレIT:Webエンジニア就職の王道
転職エージェント大手の「atGP」が運営する、Webエンジニア育成に特化した事業所です。
- 特徴:
- 現役エンジニア講師の指導のもと、実務に近い「模擬プロジェクト」を行います。チームで開発を進めるため、技術だけでなく「報告・連絡・相談」などのコミュニケーションスキルや、Git等を使ったチーム開発の手法も身につきます。
- 向いているタイプ:
- 一人で黙々と作業するより、チームで役割を持って働きたい。
- うつ病や双極性障害などで離職したが、体調管理とセットで再起を図りたい。
- 主な就職先: Web制作会社、システム開発会社のエンジニア職。
2. Neuro Dive(ニューロダイブ):先端IT・データ分析・RPA
「事務職レベルでは物足りない」「ハイクラスな就職を目指したい」という層に向けた、先端IT特化型です。
- 特徴:
- 座学にとどまらず、実践的なデータセットを用いた分析課題に取り組む、研究職・専門職レベルのカリキュラムが特徴です。PythonやSQLによるデータ分析に加え、Power Automate(RPA)を活用した高度な業務自動化も学べます。「データを用いて課題解決をしたい」という強い目的意識を持つ方に最適な環境です。
- 向いているタイプ:
- 論理的思考や数字の扱いが得意な方。
- 過去にITエンジニア経験があり、休職・離職からの復帰を目指す方。
- 主な就職先: 大手企業のデータサイエンティスト、機械学習エンジニア、RPAスペシャリスト。
3. Kaien(カイエン):DX実務 × 独自の自己理解
発達障害やグレーゾーンの方への支援に定評があり、IT未経験から「現場で使えるスキル」を習得できます。
- 特徴:
- ガチガチのプログラミング開発よりも、Excel VBAやPower Automate(RPA)、生成AI(ChatGPT等)を活用した「業務効率化」に力を入れています。Neuro Diveと同様にRPAを扱いますが、こちらはより「事務職+α」としての実務的な活用を重視しています。「自分の取扱説明書」を作るプログラムなど、自己理解を深める支援も業界トップクラスです。
- 向いているタイプ:
- 開発職はハードルが高いが、事務職以上の価値(DXスキル)を出したい。
- コミュニケーションに課題を感じており、対策をしっかり学びたい。
- 主な就職先: 一般企業のDX推進担当、ITサポート事務。
4. manaby(マナビー):在宅就労・Webデザイン
「一人で集中して学びたい」「在宅ワークを目指したい」というニーズに特化した事業所です。
- 特徴:
- 独自のeラーニングシステムを使い、周りを気にせず自分のペースで学習を進められます。デザインツール(Photoshop/Illustrator)やWebコーディングに強く、「在宅就労」の実現に向けた求人開拓やサポートノウハウが豊富です。
- 向いているタイプ:
- メンタル不調や対人不安があり、集団での講義形式が苦手な方。
- 通勤の負担を減らし、自宅で安定して働きたい方。
- 主な就職先: 特例子会社の在宅Web制作枠、IT企業の事務職。
5. 就労移行ITスクール:動画・デザイン・資格取得
全国に展開しており、クリエイティブ分野に強いのが特徴です。
- 特徴:
- 他の事業所には少ない「動画編集(Premiere Pro)」や「デザイン(Illustrator/Photoshop)」の本格的なカリキュラムがあります。また、資格取得(MOS、ITパスポート等)への受験料補助などが手厚く、未経験から自信をつけるのに適しています。
- 向いているタイプ:
- プログラミングよりも、デザインや動画などの視覚的な作業が好き。
- まずは資格を取って、目に見える実績を作りたい。
- 主な就職先: Web制作会社、動画編集マン、一般事務(IT活用)。
エリアから就労移行支援を探す
上記で紹介した大手事業所は、主に都市部(東京・大阪など)に拠点を構えています。お住まいの地域に対応しているか確認しましょう。
- 東京エリア: すべての事業所が展開しています。激戦区のため、複数の見学をおすすめします。
- 大阪エリア: atGP、Neuro Dive、Kaien、manabyなどが展開。
- その他(地方): manabyや就労移行ITスクールは地方都市にも展開しています。また、Kaienなどは完全オンラインでの利用も相談可能です。
見学で「カリキュラム」と「雰囲気」を確認しよう
IT特化の就労移行支援選びで最も重要なのは、「自分のレベルに合っているか」です。
- 高度な分析をしたいのに、初心者のパソコン教室のような場所に行っては時間が無駄になります。
- 逆に、基礎から学びたいのに、スパルタな開発合宿のような場所では挫折します。
HPの情報だけでは分かりません。まずは気になった事業所の「見学・体験利用」に申し込み、実際のテキストの中身や、通っている利用者の雰囲気(静かか、会話が多いか)を肌で感じてみてください。
就労移行支援のおすすめに関するよくある質問 (FAQ)
Q. おすすめの就労移行支援事業所はどうやって選べば失敗しませんか?
A. ネットの「おすすめランキング」を鵜呑みにせず、必ず3社以上の見学・体験利用に行くことが失敗しないコツです。
HP上では「ITに強い」と書いてあっても、実際に行ってみると「自習中心で放置される」「教材が古い」といったケースもあります。「スタッフの教え方」や「通所している他の利用者の雰囲気(静かさなど)」が自分に合うかどうか、肌で感じて比較してください。
Q. 口コミや評判が良い事業所なら、誰でも就職できますか?
A. いいえ、評判が良い事業所が「あなたに合う」とは限りません。
例えば、集中して作業したい方には「静かで論理的な環境(Neuro Diveなど)」がおすすめですが、変化を好む方には「実践的なプロジェクトがある環境(atGPなど)」が合う傾向にあります。他人の口コミよりも、「自分の特性や体調に合っているか」を軸に選ぶのがおすすめです。
Q. 手帳なしでも利用できる、おすすめの就労移行支援はありますか?
A. 今回紹介した5社(atGP、Neuro Dive、Kaien、manaby、就労移行ITスクール)はすべて、障害者手帳をお持ちでない方でも利用実績があります。
医師の診断書や、自治体の判断(受給者証の発行)があれば利用可能です。「グレーゾーンだけど支援を受けたい」という場合でも、まずは各事業所の無料相談会で利用可否を確認してみることをおすすめします。
Q. 完全オンライン(在宅)で通えるおすすめの事業所はどこですか?
A. 在宅訓練に特化している「manaby(マナビー)」が最もおすすめです。独自のeラーニングシステムがあり、自宅にいながら本格的なWebスキルが学べます。また、「Kaien(カイエン)」もオンラインコースが充実しており、Zoom等を活用したコミュニケーション訓練が可能です。
ただし、在宅利用には自治体の許可が必要になるため、まずは事業所に相談してみてください。
Q. おすすめされている事業所の料金は無料ですか?
A. おすすめ事業所に限らず、就労移行支援は利用者の9割以上が無料で利用しています。
ただし、前年度の世帯収入(本人と配偶者の合計)が一定額を超える場合は、自己負担が発生します。具体的な金額については、事業所の見学時にシミュレーションしてもらうのが確実です。