発達障害

発達障害(ASD/ADHD)に動画編集は向いてる?未経験からクリエイターになる最適ルート

「事務作業は苦手だが、動画編集なら何時間でも没頭できそうだ」

「マニュアルを読むより、直感的に動かす方が得意だ」

もしあなたがそう感じているなら、その直感は間違いなく正しいです。

発達障害(特にADHD)の特性である「過集中」や「視覚的な感性」は、定型的な事務職では評価されにくいですが、次々と場面が切り替わる「動画編集」の世界では、健常者を凌駕する「才能」になります。

この記事では、あなたの「興味」を確かな「仕事」に変えるための具体的な手順を解説します。

独学の落とし穴を避け、国の制度である「就労移行支援」を使って、最短ルートでクリエイターになる方法です。

なぜ、発達障害(ADHD/ASD)に動画編集が「向いている」のか

「自分にクリエイティブな仕事なんてできるわけがない」という思い込みは捨ててください。

動画編集という仕事には、発達障害(ADHD/ASD)の脳の特性と深く噛み合う「向いている理由」が明確にあるからです。

ADHDの強み:「視覚優位」と「過集中」がハマる

ADHDタイプの方は、文字のマニュアルを読むのは苦手でも、映像や図で直感的に理解するのは得意な傾向があります(視覚優位)。

動画編集は「ここを切って、ここにテロップを入れる」という、まさに視覚的なパズルです。座学よりも手を動かすことが中心のため、圧倒的にスムーズに習得できます。

また、興味のあることへの「過集中」は、細かいカット割りやエフェクト調整で威力を発揮します。次々と画面が切り替わるため飽きにくく、気づけば何時間でも没頭していた、という体験ができるはずです。

ASDの強み:「1フレーム単位」のこだわりと規則性

ASDタイプの方は、定型発達者が気づかない「0.1秒の音のズレ」や「テロップ配置のわずかな違和感」に気づくことができます。

動画編集には「このエフェクトはこの数値」といった明確なルールもあります。これらを完璧に守り、品質のバラつきがない動画を量産できる能力は、YouTube編集などの現場で重宝されます。

環境のメリット:対人ストレスが少ない「成果物主義」

動画編集者に求められるのは、「愛想」や「電話対応」ではありません。「良い動画を作ったか」、ただそれだけです。

リアルタイムの会話が不要なため、空気を読むストレスから解放されます。また、フリーランスや在宅案件も多く、自分のペースで働きやすい環境を作りやすいのも大きなメリットです。


動画編集を仕事にするために必要なスキルとPC環境

「スマホアプリで動画を作ったことがある」レベルでは、残念ながら仕事にはなりません。

プロとして稼ぐために最低限必要な「武器」を知っておきましょう。

必須ソフトは「Premiere Pro」一択

仕事の現場では、Adobe社の「Premiere Pro(プレミアプロ)」が共通言語です。

無料ソフトやスマホアプリでは、クライアントへの納品データとして認められません。演出やアニメーションを作るなら「After Effects(アフターエフェクツ)」もセットで求められることが多いため、この2つは避けて通れません。

ハイスペックPCが必須(ゲーミングPCレベル)

一般的な事務用ノートPCでは、動画ソフトは重すぎてまともに動きません。

フリーズせずに編集するには、メモリ16GB以上、GPU(グラフィックボード)を搭載した、いわゆる「ゲーミングPC」クラスのスペックが必要です。

初期投資として、最低でも15万〜20万円程度のPCを用意する必要があります。

未経験から動画編集を「独学」で習得するのが難しい理由

「まずはYouTubeを見て独学しよう」と思うかもしれませんが、発達障害の方が動画編集を独学で始めると、「金銭的」かつ「精神的」な理由で挫折するリスクが高いのが現実です。

初期費用のハードルが高い(ソフト代・PC代)

まず、「向いているか分からない」段階で高額な投資をしなければなりません。

  • ハイスペックPC:約20万円
  • Adobe CC契約料:月額数千円〜(年間数万円)

稼げるようになる前に、これだけの赤字を背負うのは非常にリスクが高いと言えます。

フィードバックがないと「自己満足」で終わる

動画には「見やすい間(ま)」や「視聴者を飽きさせないセオリー」があります。

独学だと、自分の動画が「良いか悪いか」を客観的に判断してくれる人がいません。変な癖がついたままポートフォリオ(作品集)を作っても、クライアントには評価されず、案件が取れないという悪循環に陥ります。

失敗しない近道。「就労移行支援」を利用するメリット

独学のリスクを回避し、確実にクリエイターになるための方法。それが「就労移行支援」です。

これは単なる福祉施設ではなく、「国が費用を負担してくれるクリエイター養成所」です。

高額なPCとAdobeソフトが「無料」で使い放題

事業所には、ハイスペックPCとAdobeソフト(Premiere Pro等)が完備されています。

本来なら自分で購入しなければならない機材を、すべて無料(※)で使い放題です。経済的な負担なく、プロと同じ環境で学習をスタートできます。

(※前年度の世帯収入によりますが、利用者の9割以上が自己負担0円で利用しています:出典 厚生労働省)

実務に近い「制作課題」でポートフォリオが作れる

ただ操作を覚えるだけでなく、「YouTube動画」「企業PR動画」などの課題制作を通じて、就職活動で使える「実績(ポートフォリオ)」を作れます。

現役のクリエイター講師から直接フィードバックをもらえるので、独学とは比べ物にならないスピードで実力がつきます。

就職だけでなく「副業・フリーランス」の相談も可能

動画編集は、企業への就職だけでなく、クラウドソーシングでの案件獲得(副業・フリーランス)とも相性が良い職種です。

事業所によっては、在宅ワークやフリーランスとしての独立を視野に入れたサポートを行ってくれる場所もあります。

発達障害におすすめの「動画編集が学べる」就労移行支援4選

動画編集を学べる就労移行支援はまだ多くありません。

その中でも、特に実績があり、ソフトや環境が整っている4社を厳選しました。

サービス名おすすめタイプ動画スキルの特徴
就労移行ITスクール【本命】クリエイティブAdobe特化。デザインも動画も楽しく学びたい人へ。
atGPジョブトレIT【王道】就職重視デジハリ教材で基礎からプロレベルまで網羅。
Kaien【実務】経験重視模擬案件として動画制作を請け負う実践型。
manaby【在宅】マイペース自宅のPCで動画編集を学びたい人へ。

就労移行ITスクール|Adobeスキルに特化したクリエイター育成

  • 特徴: お笑い芸人EXITがアンバサダーを務めるなど、明るい雰囲気が特徴です。Adobeソフト(Premiere Pro、After Effects)の習得に特化しており、資格取得もサポートしています。
  • こんな人へ: 堅苦しい勉強は苦手。楽しみながらクリエイターを目指したいADHD層に最適です。

atGPジョブトレIT|2025年新設の「動画編集コース」

  • 特徴: Web制作の名門「デジタルハリウッド」と提携しており、プロ仕様の動画教材が見放題です。2025年に動画編集コースが新設され、より専門的に学べるようになりました。
  • こんな人へ: 質の高い教材で基礎からしっかり学び、Web・IT業界へ確実に就職したい人におすすめです。

Kaien(カイエン)|実践的な「クリエイティブコース」

  • 特徴: 「訓練」ではなく「業務」として動画制作を行います。上司役のスタッフから指示を受け、納期を守って納品する模擬職場スタイルです。
  • こんな人へ: 編集スキルだけでなく、納期感覚やクライアントワーク(修正対応)など、実務で通用する働き方を磨きたい人に向いています。

manaby(マナビー)|在宅で動画スキルを習得

  • 特徴: 「eラーニング」に特化しており、通所しなくても自宅で学べます。Premiere Pro等の講座も充実しています(※事業所によるため要確認)。
  • こんな人へ: 通所が辛い、人間関係を気にせず自分のペースで学びたい人におすすめです。

まとめ:まずは「編集作業」が楽しいか確認しに行こう

自分に動画編集の適性があるかどうかは、ネットの記事を読んでも分かりません。

実際にPremiere Proを触って、動画をカットし、テロップを入れてみて、「時間を忘れて作業できた」「楽しい」と感じるか。それが全ての答えです。

高額なPCを買って後悔する前に、まずは各社の「無料見学・体験」を利用して、動画編集を試してみましょう。

リスクゼロで、あなたの「過集中」という才能を試すチャンスです。

発達障害と動画編集に関するよくある質問(FAQ)

Q. 30代・40代の未経験からでも動画クリエイターになれますか?

A. はい、可能です。年齢よりも「ポートフォリオ(作品)」が重視されます。

動画編集業界は実力主義です。「どんな動画が作れるか」が全てであり、年齢や経歴の空白は、クオリティの高いポートフォリオがあればカバーできます。ただし、未経験からの正社員就職は年齢とともにハードルが上がるため、最初は「副業・フリーランス」として実績を作るか、就労移行支援の「障害者枠ルート」を使うのが現実的です。

Q. 障害者手帳を持っていなくても利用できますか?

A. 利用できるケースが多いです(グレーゾーン対応)。

就労移行支援は、障害者手帳がなくても「医師の診断書」や「自立支援医療受給者証」があり、自治体が支援の必要性を認めれば利用可能です。手帳取得前の方や、いわゆる「グレーゾーン」の方でも利用実績は多数あるので、まずは無料相談会で確認してみてください。

Q. 動画編集は副業から始められますか?

A. はい、発達障害の方に最も適した「副業」の一つです。

動画編集はクラウドソーシング等で案件が豊富にあり、単価も「1本5,000円〜」とライティングやデータ入力より高めです。会社に属さず、自分の体調が良い時だけ自宅で稼ぐスタイルが作りやすいため、まずは副業として小さく始めるのも賢い戦略です。

Q. パソコンのスペックはどれくらい必要ですか?

A. メモリ16GB以上、GPU搭載のPCが推奨されます。

快適に作業するには、最低でも「メモリ16GB」「SSD 512GB以上」「GPU(グラフィックボード)搭載」のWindowsまたはMacが必要です。新品で購入すると15万〜20万円ほどかかりますが、就労移行支援に通えば、これらのハイスペックPCを無料で使用できます。

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