ADHD・ASDにWebデザイナーは向いてる?発達障害から在宅クリエイターへ

発達障害でWebデザイナーは向いているか、未経験から目指す前に確認する内容を示したアイキャッチ画像

発達障害のある方の中には、事務職、接客、電話対応、急な予定変更が多い仕事に疲れて、Webデザイナーに関心を持つ人もいます。

ただし、「発達障害があるからWebデザイナーに向いている」とは言い切れません。 Webデザイナーの仕事は、きれいな画面を作るだけではありません。サービスやページの見た目を整え、情報が伝わりやすく、使いやすい形に設計する仕事です。

この記事では、1. Webデザイナーはどんな仕事か(在宅で働けるのかを含む)→ 2. ADHD・ASDに向いていると言われる理由と、他のWeb系職種を見た方がいい場面 → 3. 未経験から何を、どこで学ぶかの順に整理します。

この記事でわかること
  • ASD・ADHDの特性がWebデザインに活きると言われる理由
  • Webデザイナーに向いている人・他の仕事も比べたい人
  • 未経験からWebデザイナーを目指す前に確認すること
目次

結論|発達障害でもWebデザイナーを目指せるが、仕事内容との相性確認が必要

発達障害のある方でも、Webデザイナーを目指すことはできます。

ただし、診断名だけで向き不向きを判断するのは避けた方がよいです。ASDやADHDの一部の特性が、Webデザインの仕事に活きる場合はありますが、同じ診断名でも得意なことや負担になりやすい場面は人によって違います。

一方で、短納期の修正、あいまいな依頼、複数人とのやり取り、顧客や上司からのフィードバック対応が負担になる場合もあります。

大切なのは、診断名ではなく、仕事内容との相性で確認することです。Webデザイナーの仕事内容を知り、自分が進めやすい仕事と負担になりやすい場面を分けて見ておきましょう。

ADHD・ASDにWebデザイナーが向いていると言われる理由

発達障害のある方にWebデザイナーが向いていると言われることがあるのは、ASDやADHDの一部の特性が、Webデザインの仕事と重なる場合があるためです。

ここでは、ASDとADHDに分けて整理します。当てはまるかどうかは人によって違います。

ASDの特性が活きるのは「ズレに気づく」ところ

ASDの特性がある方の中には、配置のズレ、表記の揺れ、ルールの不一致に気づきやすい人がいます。Webデザインは、文字の大きさ・余白・色・ボタンの位置を見ながら画面全体を整える仕事なので、この性質がそのまま効きます。

もうひとつは、順番と構造を決める工程です。サービス紹介ページなら、最初に何を伝えるか、どこで詳しく説明するか、どこに問い合わせボタンを置くか。ルールが明確なほうが進めやすい人には噛み合います。

ただし、細部が気になりすぎて時間がかかることがあります。依頼内容があいまいなまま進む案件や、途中で前提が変わる案件では負担が大きくなります。

ADHDの特性が活きるのは「案を出す」ところ

ADHDの特性がある方の中には、複数の案を出すことや、新しい見せ方を考えることに向く人がいます。最初に大きな画像を見せるのか、特徴をカードで並べるのか、比較表で整理するのか——Webデザインは案の数がそのまま質になる場面があります。

関心のあるテーマや、目的がはっきりした制作物であれば、集中して進めやすくなります。

ただし、実務は案を出すだけでは終わりません。納期と修正に合わせて形にする必要があり、複数案件の同時進行や締切管理が続くと負担になります。

Webデザイナーに向いている人・向いてない人(ADHD・ASD)

Webデザイナーを目指すか迷っている場合は、「好きそうか」だけで判断しない方がよいです。

Webデザイナーの仕事は、単にきれいな画面を作ることではありません。サービスやページの見た目を整え、伝わりやすく設計する仕事です。

  • サービスや商品の見た目を整えることに関心がある
  • 情報をどう見せれば伝わりやすいかを考えることに関心がある
  • 画面の使いやすさや、見る人のわかりやすさを考えたい
  • 見た目や伝わり方を考えるより、コードを書く方に関心がある
  • デザインの修正や、あいまいな要望への対応で大きく消耗しやすい
  • 納期や複数案件の調整が続くと、体調や集中力が崩れやすい

当てはまる項目があっても、すぐに諦める必要はありません。
同じ在宅で働けるクリエイター職でも、見た目を整えるよりHTML・CSSで形にする方が合う人はコーダーやフロントエンド寄り、数字を見て改善する方に関心がある人はWebマーケティング職が候補になります。

Webデザイナーに向いているかを、見た目、伝わり方、使いやすさ、修正対応、納期管理の5つで確認する図
Webデザイナーに向いているかは、診断名だけでなく、仕事内容との相性を見ながら確認しましょう。

障害者雇用でWebデザイナーの求人はある?|オープン・クローズと手帳

あります。ただし数は多くありません。障害者雇用の求人は事務や軽作業が中心で、Webデザイナーの枠は、それに比べるとかなり限られます。

2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.7%に引き上げられ、対象になる会社の範囲も従業員37.5人以上まで広がりました(厚生労働省障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について)。企業が障害のある人を雇う義務そのものは重くなっています。ただ、その枠がそのままWebデザイナーの求人になるわけではありません。

オープンとクローズ、どちらで応募するか

障害を開示して障害者雇用枠に応募するのがオープン、開示せず一般枠に応募するのがクローズです。

オープン(開示して障害者雇用枠に応募)

  • 配慮を最初から相談できる
  • 体調が崩れたときに事情を説明できる
  • 求人数は少なく、給与も一般枠より低いことが多い
  • 制作より運用・更新が中心の求人もある

クローズ(開示せず一般枠に応募)

  • 求人数が多く、制作の仕事に就きやすい
  • 配慮は求めにくい
  • 不調が出たときに理由を説明できない
  • 途中から開示に切り替えるのは簡単ではない

Webデザイナーは制作物で判断される職種なので、クローズでも入れる余地は他の職種より大きい仕事です。ただし配慮が要る状態でクローズに入ると、短納期や急な修正が続いたときに逃げ場がなくなります。開示するかどうかは、今の体調と、必要な配慮の量で決めてください。

手帳は必要か

障害者雇用枠に応募するには、原則として障害者手帳が必要です。発達障害の場合は精神障害者保健福祉手帳が対象になります。

手帳がなくても一般枠には応募できます。また就労移行支援は、手帳がなくても医師の診断書や意見書などで利用できる場合があります(判断は自治体の障害福祉窓口です)。「手帳が無いから何もできない」ということにはなりません。

どんな配慮を頼めるか

2024年4月から、事業者による合理的配慮の提供が義務になりました(内閣府)。Web制作の現場で実際に相談されるのは、次のようなものです。

Webデザイナーの仕事で相談されやすい配慮
  • 修正依頼を口頭ではなく文字でもらう(チャットに残す)
  • 「いい感じに」ではなく、どこをどう直すかを具体的に指示してもらう
  • 締切を「納品日」だけでなく、工程ごとに分けてもらう
  • 同時に持つ案件の数に上限を決めてもらう
  • 音や光の刺激を減らす(イヤーマフの使用、席の位置、モニターの明るさ)
運営側の視点

配慮は「お願い」の形で出すと通りません。何ができるようになるかとセットで伝えてください。「音が苦手なのでイヤーマフを使わせてください。集中が続けば、確認漏れが減ります」のように、会社側の得になる形で言えるかどうかで結果が変わります。

この「配慮の伝え方」を訓練で扱うのが就労移行支援です。何を開示して、何を配慮として頼むかを、応募書類と面接の形にするところまで一緒に決めます。学び方の比較は記事の後半でまとめています。

Webデザイナーの仕事内容|何を作り、どう進めるのか

Webデザイナーは、Webサイトやランディングページの見た目と使いやすさを設計する仕事です。診断名ではなく、この仕事内容と自分の特性を照らして判断してください。

ただ画面をきれいにするだけではありません。ページを見る人が、必要な情報を見つけやすく、問い合わせや申込みなどの行動に進みやすいように、情報の見せ方を整えます。一人で完結する仕事ではなく、ディレクターやコーダーとの受け渡しが挟まります。

担当する内容は、どの会社でも共通するものと、会社や求人によって足されるものに分かれます。

どの会社でも担当すること

  • ページの目的に合わせて、見出しや情報の順番を決める
  • 文字、色、余白、画像、ボタンの配置を決める
  • PCとスマホの両方で見やすい画面に整える(レスポンシブ対応)
  • 文字と背景のコントラスト、画像の代替テキストを確認する(Webアクセシビリティ)
  • 公開前の修正と、公開後の改善に対応する

会社や求人によって足されること

  • バナー、SNS画像、記事内の画像を作る
  • WordPressでページを更新する
  • 公開後のアクセスを見て改善案を出す
  • 簡単なコーディング(HTML・CSSの修正)
  • 撮影した写真の加工や、図解の作成

どの作業が重いかは、特性によって違います。あいまいな依頼が重い人と、締切と案件数の管理が重い人では、選ぶ職場も、頼む配慮も変わります。ここを分けて見ておくと、面接で「何ができて、何を助けてほしいか」を言えるようになります。

運営側の視点

ここは当事者が強い部分です。「この色の組み合わせは読めない」「この文字量は追えない」が実感として分かるのは、実務で説明できる材料になります。

現場での業務の流れ

会社によって違いはありますが、一般的なWeb制作は次のように進みます。デザインを作る工程は、このうちの1つです。

ページの目的を確認する

ディレクターから「問い合わせを増やしたい」などの目的を共有されます。何を目立たせるかはここで決まります。

ページに入れる情報を整理する

見出し、文章、画像、ボタンをどの順番で見せるかを決めます。

デザイン案を作る

Figmaなどで画面案を作り、PCとスマホの両方に整えます。Webデザイナーとしてイメージされやすいのはここです。

コーダーやエンジニアに共有する

コーダーやフロントエンドエンジニアがHTML・CSSでページにします。意図が伝わる形にデータを整理して渡します。

公開前に表示を確認する

スマホで文字が詰まる、ボタンが押しにくいなどの直しが入ります。

公開後に改善する

アクセス数を見て、見出し・ボタン・バナーを直します。

Webデザイナーの仕事を、目的確認、情報整理、画面デザイン、制作チームへの共有、公開前確認、公開後改善の流れで整理した図
Webデザイナーは、画面を作る工程だけでなく、目的の確認、情報整理、公開前の修正、公開後の改善にも関わります。

Webデザイナーは在宅(リモート)勤務できる?

できる会社は多い仕事です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、Webデザイナーの労働条件について「テレワークが可能な会社が多い」と説明しています。パソコンと制作環境があれば進めやすい業務が中心だからです。

ただし、在宅なら楽に働けるとは限りません。同じサイトは「締め切りが迫っていたり、トラブルが発生したりすると、夜間や休日に仕事をすることもあり、勤務時間は不規則になりがちである」とも書いています。打ち合わせ、チャットでのやり取り、納期管理、修正対応は、在宅でもそのまま発生します。

発達障害のある方が在宅を望む理由は、通勤の負担、職場の音や光(感覚過敏)、雑談や電話での対人疲労であることが多いです。この3つが理由なら、在宅はよく効きます。

一方で、在宅だから難しくなることもあります。生活リズムを自分で作る、報告のタイミングを自分で決める、不調が出ても周りに気づかれない——ここは通所より重くなります。確認するところを3つに分けます。

在宅でも打ち合わせや修正対応はある

在宅勤務では、通勤負担が減る一方で、チャットやオンライン会議でのやり取りが増える場合があります。

文章での指示を読み取る、修正内容を整理する、仕事の進み具合を伝える、といった力が必要です。人と話す時間が減るだけで、対人調整がなくなるわけではありません。

未経験からすぐにフリーランスを目指す場合は注意する

未経験からいきなりフリーランスを目指すと、営業、見積もり、契約、請求、納期管理、修正対応まで自分で行う必要があります。

体調や特性に不安がある場合は、まず会社員、障害者雇用、就労移行支援後の就職、制作補助、社内Web担当などで経験を積む方が合う場合もあります。

体調に合う働き方かを先に確かめる

在宅勤務を目指す場合は、仕事内容だけでなく、勤務時間、締切、連絡方法、休憩の取り方も確認してください。

「在宅勤務があるか」だけでなく、出社頻度、急な修正の多さ、チャット返信の速さをどこまで求められるかまで見ておくと、入社後のミスマッチを減らせます。

在宅勤務そのものを、合理的配慮として相談できる場合もあります(2024年4月から事業者の提供義務)。ただし業務の性質上どうしても出社が要る場合もあり、必ず通るわけではありません。「在宅でないと働けない」ではなく、「何のために在宅が要るのか」を言えるようにしておいてください。

Webデザイナーに必要な知識・スキルは?

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、この職業について「入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、デザインの基礎知識・技術は必要となる」と書いています。

では何が要るのか。考え方(3つの力)とツール(役割ごとに9つ)に分けて整理します。ASD・ADHDの特性が強みになるところと、配慮を頼んだほうがいいところも、あわせて書きます。

まず身につけたい3つの力

ツールの使い方より先に要るものです。3つとも、特性が強みに振れる側の力です。ここが無いと、ツールを覚えても「何を作ればいいか分からない」で止まります。

情報を整理する力

何を最初に見せて、どこで詳しく説明して、どこにボタンを置くかを決める力です。ページの目的が先で、見た目は後。順番やルールを決めるのが苦にならない人には、ここが強みになります

見せ方を決める力

文字の大きさ、余白、色、写真の選び方。センスの話ではなく型の話なので、良い画面を真似て作りながら覚えられます。「自分にセンスがない」を理由にあきらめる必要はありません

崩れずに読める形にする力

スマホでも崩れない作り(レスポンシブ対応)と、文字と背景のコントラストや代替テキストへの配慮(Webアクセシビリティ)です。読みにくさを自分で経験している人は、ここで説明できる材料を持っています

デザインを作る|Figma・Photoshop・Illustrator・Canva

厚生労働省のjob tagも、この職業がよく使うものとしてIllustrator・Figma・Photoshopを挙げています。まずはFigmaの1つを、最後まで作れるようにしてください。

Figma

ワイヤーフレームから画面デザインまで。ラフも仕上げも、この1つで足ります。そのままコーダーへ渡せます。無料。最初に触るならここです

Photoshop・Illustrator

写真を加工する・ロゴや図解を作る。Photoshopは切り抜きと不要物の除去、Illustratorは拡大しても粗くならないロゴ・図解。求人票に名前が挙がる2つです(Adobe Creative Cloudの契約)

Canva

バナーを手早く作る。テンプレートから作れます。求人によっては実務でも使われます。無料で始められます

形にして公開する|HTML・CSS・STUDIO・WordPress

職場によっては担当しませんが、話が通じる程度には知っておくと動きやすくなります。

HTML・CSS

画面を組み立てる言語。書けなくても、読めれば十分です。文字サイズや余白の話が、コーダーと通じるようになります

STUDIO

コードを書かずに公開する。制作物を早く見せたいときに使えます

WordPress

公開後に更新する。更新作業は必ず発生します。触れると担当範囲が広がります

チームで進める|ChatGPT・Slack・Backlog

求人票には書かれませんが、入社した日から使います。やり取りが文字で残るので、口頭の指示が苦手な人にはむしろ助けになります。

ChatGPT

案を出す・下書きを作る。使い方は次の章でまとめています

Slack

チームとやり取りする。修正依頼はチャットで届きます。Chatworkを使う会社もあります

Backlog

やることと期限を共有する。誰がいつまでに何をやるかを管理します。NotionやRedmineを使う会社もあります

ツール名をいくつ並べられるかより、1つの画面を最後まで作り切ったかのほうが伝わります。体調に波があるなら、ツールを増やすより1本を仕上げるほうが、負担も少なく残るものが多いです。

Webデザイナーも生成AIを使う時代?|ADHD・ASDにこそ効く使い方

使います。もう特別なことではありません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)も、Webデザイナーの現状について「生成AIを利用したWebデザインとの競争という側面もあり、Webデザイナーには、高いクオリティで顧客のニーズに合ったWebサイトをデザインすることがより一層求められている」と書いています。

発達障害のある人にとっては、「便利なツールが増えた」以上の意味があります。分からないことを人に聞くのが負担でも、AIになら何度でも聞ける。あいまいな指示を整理させられる。案が出ないときの壁打ち相手になる。コミュニケーションが苦手なことで詰まっていたところが、開きました。

何度でも聞ける|ChatGPT・Gemini・Claude

学習でつまずいたとき、人に聞くのが負担でもAIになら何度でも聞けます。質問の文章を作るところから相談できます。「何が分からないのか分からない」状態でも、そのまま投げて整理してもらえます

「いい感じに」を選択肢に変えられる|ChatGPT・Gemini・Claude

あいまいな指示をそのまま貼って「何を求めていると考えられるか3つ挙げて」と聞けます。案の壁打ち相手にもなります。案が出ないときも、出しすぎて絞れないときも使えます

画像を作る・直す|Adobe Firefly・Midjourney・CanvaのMagic Studio

写真の不要物を消す、背景を広げる、素材が無いときに下地を作る。商用で使える範囲はサービスごとに条件が違います

こうして「形にする速さ」はツールの側に寄りました。その分、人が担う部分がはっきりしてきています。残ったのは、ズレに気づくことと、意図を読み取ることです。

  • バナーやアイキャッチの案を、短時間で何パターンも出す
  • 写真の不要物を消す、背景を広げる(Photoshopの生成塗りつぶし、Adobe Firefly)
  • ダミーテキストや説明文のたたき台を作る
  • 型が決まったHTML・CSSの下書きを出す
  • そのページで最初に何を見せるかを決める
  • 出てきた案の「どこがズレているか」を言葉にする
  • コントラストや文字サイズが本当に読みやすいか確かめる
  • 修正依頼の意図をくみ取って直す

採用側が見るところも動いています。「作れます」よりも、AIが出したものの直すべき所が分かるかの比重が上がりました。

運営側の視点

これは特性が武器になる方向の変化です。ズレに気づく、同じルールを守り続ける、細かい違いが気になって仕方がない——AIの出力を確かめる工程は、まさにそこを使います。

ポートフォリオにAI生成物を載せてよいかは、応募先によって扱いが違います。どこまでAIを使い、どこを自分で判断したのかを自分の言葉で説明できるようにしておいてください。隠すより、使い方を説明できるほうが評価されます。

未経験からWebデザイナーを目指すなら何から始めるか

必要なものが分かったら、あとは作って、見せられる形にするだけです。最初からすべてを完璧に学ぶ必要はありません。

求人や面接で見られるのは、「何を学んだか」だけではありません。「何を作ったか」「どこを工夫したか」「修正をどう反映したか」です。

体調に波があるなら、1日にやる量ではなく「続けられる最小単位」で決めてください。調子のいい日に8時間やって3日止まるより、毎日30分のほうが残ります。就労移行支援や職業訓練に通うと、この「続ける枠」が外から用意されます。

まず小さなWebページを作ってみる

最初から大きなサイトを作る必要はありません。

たとえば、架空のサービス紹介ページ、自己紹介ページ、イベント告知ページ、簡単なランディングページなどで十分です。大切なのは、ページの目的を決めて、誰に何を伝える画面なのかを考えることです。

作ったものを説明できる形にまとめる

未経験から応募する場合は、ポートフォリオが重要になります。

完成した画面だけでなく、作った目的、想定した利用者、工夫した点、修正した点、次に改善したい点まで書くと、自分で考えながら作ったことを示しやすくなります。

未経験からWebデザイナーを目指す流れとして、仕事内容を知る、デザインツールに触る、小さな制作物を作る、修正する、ポートフォリオにまとめる流れを示した図
未経験からWebデザイナーを目指す場合は、ツールを学ぶだけでなく、作ったものを説明できる形にすることが大切です。

Webデザインを学べる場所|独学・プログラミングスクール・職業訓練・就労移行支援

Webデザイナーを目指す方法は、一つではありません。

独学、プログラミングスクール、職業訓練、就労移行支援などがあり、どれが合うかは、今の体調、学習経験、質問できる環境、就職活動の支援が必要かによって変わります。

スクロールできます
比べる点独学プログラミングスクール公的職業訓練就労移行支援
費用テキスト2〜3冊
5,000〜1万円
20〜60万円
分割払いあり
受講料0円
テキスト代は実費
月0円〜37,200円
所得で3段階
学習期間決まりなし3〜6か月3〜6か月1〜1年半
(上限2年)
講師がいるかいない現役の実務者講座による事業所による
実践経験を積めるか題材は自分で課題と添削講座による事業所による
働きながら使えるか使える使える対象外原則不可

就労移行支援は制度上の上限が2年ですが、1年から1年半で就職を決める人が多いのが実際です。費用は世帯の所得で3段階に決まり、月あたりの上限は0円/9,300円/37,200円のいずれかです(厚生労働省の負担上限月額)。

独学|お金をかけずに、今日から始める

テキストと無料ツールだけで始められます。弱点は、作ったものが実務に近い水準か、自分では判断しにくいことです。見てくれる人がいないまま進むと、完成度ではなく作業量だけが増えていきます。

とくにASD・ADHDのある方は、つまずいたときに誰にも聞けない状態が続くと、そこで止まりやすい傾向があります。独学を選ぶなら、質問できる先を先に決めてください。

プログラミングスクール|働きながら、現役の実務者に見てもらう

課題と添削があり、実務の基準を教わることができます。費用はコースの長さで大きく変わります。働きながら通えるのは、独学とここだけです。

就労移行支援と迷う場合は、費用と期間そのものを比べた記事があります。

働きながら、現役の実務者に教わりたい方へ

費用はかかりますが、働きながら通えるのはこの2つ(独学・プログラミングスクール)だけです。ただしうつなどの不調を併発しているときに、仕事とプログラミングスクールを並行させるのは負荷が高すぎます。その場合は先に体調を整える順番にしてください。

公的職業訓練|受講料0円で、3〜6か月まとめて学ぶ

ハローワーク経由で申し込みます。受講料は無料で、テキスト代などが自己負担です。ただし講座は地域と時期で変わり、Webデザインの講座が常にあるとは限りません。対象者・訓練期間・就職支援の範囲は、ハローワークで確認してください。

就労移行支援|体調と就職活動まで、まとめて相談する

Webデザインの学習だけでなく、生活リズム、通所、応募書類、面接練習、職場での配慮の相談まで扱います。原則として働きながらは使えません。Webデザインをどこまで学べるかは、事業所によってかなり違います。

就労移行支援を選ぶときは、「Webデザイン対応」と書かれているかだけで判断しないでください。
実際に何を作るのか、誰が見て助言するのか、作ったものをポートフォリオに入れられるのかは、事業所ごとに違います。

Webデザインを学べる事業所は、学べる内容と作れるものでまとめています。

Webデザインに絞らず、プログラミングや動画編集も含めて比べたい場合はこちらです。

あわせて、無料相談・見学で聞くこともご覧ください。

ここまでで気になる事業所が見つかったら、次にやることは1つです。

1社だけ見て決めず、2〜3社を見学・体験して比べてください。パンフレットや口コミでは分からず、実際に足を運んで初めて分かるのは次の3点です。

  • 支援員との相性(毎日顔を合わせる相手が、自分に合う話し方をするか)
  • 学習内容(カリキュラム名ではなく、実際に何を作り、どう就職につなげるのか)
  • 通い続けられるか(通所ルートの負担、教室の音や人数、自分の体調との相性)

見学や相談は無料で、かかる費用は交通費くらいです(体験利用の扱いは事業所や自治体によって異なるため、申し込み時に確認してください)。

「見学に行ったら、断りづらくなるのでは」と身構えてしまうかもしれません。でも実際のところ、見学に来た方のうち通所まで進むのは半分以下です(事業所によって差はあります)。

「学習内容が思っていたものと違った」「難しくてついていけなそうだった」「毎日通うのはしんどそうだった」——見送る理由は人それぞれで、断られるのは事業所にとって日常です。気を遣う必要はありません。合わないと感じたら、そのまま帰って別の事業所を見に行けば大丈夫です。

まとめ|Webデザイナーを目指す前に仕事内容・負担・学び方を確認しよう

発達障害のある方でも、Webデザイナーを目指すことはできます。

診断名で決めるのではなく、仕事内容との相性で見てください。ASD・ADHDの特性が活きる場面もあれば、短納期の修正やあいまいな依頼が重く出る場面もあります。

未経験から目指すなら、まずは小さなWebページや画像を作り、どこを工夫したのか説明できる形にしていきましょう。独学で手が止まる場合や、障害・体調に合わせた就職支援も必要な場合は、プログラミングスクール、職業訓練、就労移行支援なども比較して、自分に合う進め方を選ぶことが大切です。

Webデザインを就労移行支援で学ぶなら、当サイトで紹介している事業所の中ではatGPジョブトレIT・Webが本命です。Webデザイナー養成の名門デジタルハリウッドと提携した教材で、就職活動の武器になるポートフォリオ制作まで踏み込んで学べる、Web制作特化型だからです。他の事業所も含めて比較したい方はWebデザインを学べる就労移行支援の比較記事をご覧ください。

ポートフォリオを作りながらWebデザインを学びたい方へ

atGPジョブトレは障害・症状別のコース制です。IT・Web専門のコースのほかに発達障害専門のコースがあり、どちらも同じ運営元(株式会社ゼネラルパートナーズ)が見学を受け付けています。

Webデザインが自分に合うか迷うなら、特性から相談する道もあります

発達障害とWebデザイナーに関するよくある質問(FAQ)

発達障害はWebデザイナーは向いていますか?

発達障害があるからWebデザイナーに向いている、とは言い切れません。

細かな違いに気づくこと、情報を整理すること、興味のあるテーマに集中することが活きる場面はあります。一方で短納期の修正やあいまいな依頼が大きな負担になるなら、コーダーやWebマーケティング職も並べて比べてください。

ADHDでもWebデザイナーを目指せますか?

ADHDのある方でも、Webデザインを学び、仕事として目指す人はいます。

案を出すことが活きる一方、集中の波、締切管理、複数案件の切り替えが負担になりやすいです。仕事を小さく分ける、締切を早めに置く、進み具合を見える形にする——この3つを学習段階から試してください。

ASDでもWebデザイナーは働きやすいですか?

ASDの特性がある方の中には、ルールや構造が明確な仕事の方が進めやすいと感じる人もいます。

ページの目的や見た目のルールが明確なら進めやすく、一貫性のズレに気づきやすい特性は見た目の調整に活きます。ただし要望があいまいなときや修正が続くときは負担になります。

働きやすさは、仕事内容だけでなく、職場の指示の出し方や相談しやすさによって変わります。

未経験からWebデザイナーになるには何から始めればよいですか?

未経験からWebデザイナーを目指す場合は、まず小さなWebページやバナーを作ってみることから始めるとよいです。

サービス紹介ページや告知ページで十分です。「誰に向けて作ったか」「どこを工夫したか」「どこを修正したか」を説明できる形にしておいてください。

Webデザイナーは在宅勤務できますか?

Webデザイナーは、在宅勤務と相性がある仕事の一つです。

厚生労働省のjob tagも「テレワークが可能な会社が多い」としています。ただし出社頻度、急な修正の頻度、体調不良時の相談方法までは、必ず確認してください。

Webデザインを学べる就労移行支援はありますか?

WebデザインやWeb制作を扱う就労移行支援はあります。ただし、学べる範囲は事業所によって違います。

無料相談や見学では、デザインツール、HTML・CSS、WordPress、制作物へのフィードバック、ポートフォリオ化、就職活動での使い方まで確認してください。

そのほかに確認した資料です(URLつきの一覧は下の「参考にした公的資料」にまとめています)。

  • 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「Webディレクター」
  • 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「システムエンジニア(Webサービス開発)」
  • 発達障害情報・支援センター「自閉症スペクトラム障害(ASD)」
  • 発達障害情報・支援センター「注意欠如多動性障害(ADHD)」
  • 厚生労働省「発達障害の特性(代表例)」
  • 厚生労働省「就労移行支援に関する資料」

取得日:2026年6月21日

参考にした公的資料

※ この記事は、就労移行支援の運営に5年以上携わった経験と、各事業所・公的機関が公表している情報をもとに作成しています。評価基準や情報の扱い方は運営者情報・編集方針で公開しています。

※ 本記事は特性の理解と働き方の工夫を扱うものであり、医学的な診断・治療の助言を行うものではありません。心身の不調が続く場合は医療機関にご相談ください。

※ 就労移行支援の利用条件・自己負担額・在宅訓練の可否は、お住まいの自治体の判断によって異なります。最新の条件は自治体の障害福祉窓口または各事業所にご確認ください。

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この記事を書いた人

元・就労移行支援 マーケティング担当

事業所の運営側で、広報や集客実務を経験。 各事業所の『強み』と『宣伝文句』を客観的に分析・比較します。

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