就職・転職

30代障害者の転職は「即行動」か「スキル習得」か?失敗しない判断基準

「30代でスキルもないまま転職できるのか?」 「今の職場は辛いが、辞めても次が見つかるか不安」

障害者雇用における30代は、キャリアの大きな分岐点です。 20代のような「若さ(ポテンシャル)」での採用は期待できなくなり、企業からは「即戦力」または「安定した定着実績」がシビアに問われるようになります。

焦って転職先を決めても、また低賃金の単純作業に戻るだけかもしれない。かといって、悠長に勉強している時間もない気がする。 そんな板挟み状態の方に向けて、「今すぐ転職すべき人」と「一旦立ち止まってスキルをつけるべき人」を分ける明確な判断基準を解説します。 感情論ではなく、市場の論理とあなたのリソース(資金・時間)に基づいた、後悔しない選択をしてください。

30代障害者の転職市場における「現実」

まずは市場の実態を把握しましょう。30代の転職活動において、企業が見ているポイントは20代とは異なります。

「ポテンシャル採用」の終了

20代であれば「未経験でも育ててみよう」という枠がありますが、30代にはそれがほとんどありません。 企業が30代に求めているのは、「明日から使える業務スキル」か、あるいは「絶対に休まず安定して働ける実績」のどちらかです。これを持たずに「やる気はあります」だけで挑むと、書類選考の段階で苦戦する可能性が高くなります。

「経験者」と「未経験者」の二極化

前職で経理やITなどの専門スキルがある人は、障害者枠の中でも比較的良い条件(年収350万〜400万以上など)で採用されます。 一方、特別なスキルがない場合、紹介される求人は「最低賃金に近い軽作業」や「清掃」などが中心となり、20代の頃より条件が悪化することも珍しくありません。

あなたはどっち?「即転職」vs「スキル習得」の判定ロジック

どちらのルートを選ぶべきかは、あなたの「現在の状況(資産・スキル)」によって決まります。以下の基準で判断してください。

ケースA:【即転職】を優先すべき人

以下の条件に当てはまる場合は、スキル習得よりも転職活動を優先してください。

  1. 経済的な余裕がない(生活防衛資金が3ヶ月分未満)
    • 学習期間中の生活費が持ちません。まずは収入を確保することが最優先です。
  2. 現職で心身の健康が限界に近い
    • うつ病の再発や悪化のリスクがある場合、キャリアよりも「心身の安全」が優先です。まずは休職か退職をして、療養または負担の少ない職場へ移りましょう。
  3. 既に「実務経験(経理、人事、IT等)」がある
    • 新たなスキルをつける必要はありません。その経験を評価してくれる企業を転職エージェント経由で探すのが正解です。

ケースB:【スキル習得】を優先すべき人(急がば回れ)

以下の条件に当てはまる場合は、焦って転職せず、時間を投資して「武器」を作る方が、中長期的な安定性は高くなります。

  1. 失業手当や貯金で、半年〜1年は生活できる
    • この期間を「未来への投資」に使えます。
  2. 特別なスキルがなく、単純作業のループから抜け出したい
    • 今のまま転職しても、また同じような「低賃金・誰でもできる仕事」に行き着く可能性が高いです。ここで軌道修正しないと、40代以降も同じ悩みを抱え続けることになります。
  3. 在宅ワークやフレックスなど「働き方」を選びたい
    • 好条件の求人はスキル(特にIT系)がある人に集中します。環境を重視するなら、それに見合うスキルを用意する必要があります。

「スキル習得ルート」を選ぶ人が30代で狙うべき領域

30代未経験から学び始めて、現実的に就職・定着できる分野は限られています。「好きかどうか」よりも「勝算があるか」で選ぶ視点が重要です。

なぜ「ITスキル」が推奨されるのか

  • 年齢のハンデが薄い: IT業界は慢性的な人手不足であり、スキルさえあれば年齢や障害よりも「成果物」が評価されやすい傾向にあります。
  • 学習期間のコスパが良い: 公認会計士や社労士などの難関資格は年単位の勉強が必要ですが、プログラミングやWeb制作、インフラ技術は、集中すれば半年〜1年で実務レベルの入り口(テスターや運用監視)に到達可能です。

就労移行支援という選択肢

30代の独学はリスクが高いです(間違った方向に進んだ時の時間のロスが致命的だからです)。 IT特化型の就労移行支援を利用すれば、実務に近いカリキュラムで学びつつ、企業実習を通じて「実務経験に近い実績」を作ることができます。また、失業手当を受給しながら通えるケースもあるため、経済的な不安を減らして学習に集中できます。

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30代の転職で「失敗」しないためのマインドセット

どちらのルートを選ぶにせよ、以下の心構えを持ってください。

「100点満点の職場」を探さない

30代の転職は「トレードオフ(何かを捨てて何かを取る)」です。 「年収」「業務内容」「配慮」「通勤距離」すべてを求めても決まりません。今の自分にとって「絶対に譲れない条件」を1つだけ決め、それ以外はある程度妥協する覚悟が必要です。

空白期間(ブランク)を恐れすぎない

「離職期間が長引くと不利になるのでは」と焦って、条件の合わない企業に入るのが一番の失敗パターンです。 「ただ休んでいた」のではなく、「職業訓練校や就労移行支援で、実務に直結するスキルを学んでいた」という期間であれば、それは「準備期間」として企業にポジティブに評価されます。

まとめ:30代は「とりあえず」で動かず、リソースを見て判断する

30代の転職活動において、焦りは禁物です。 何も準備せずに動けば、条件の悪い仕事しか選べず、数年後にまた同じ壁にぶつかるリスクがあります。

もし生活資金に一定の猶予があるなら、半年間だけ時間を止めて、未来のための「スキル習得」を行うことも一つの賢明な判断です。 その半年間の投資は、その後の数十年続くキャリアの安定性に繋がります。

今すぐ動くべきか、学ぶべきか。まずは就労移行支援やエージェントの無料相談を利用し、客観的な「自分の市場価値」と「使える制度」を確認することから始めてみましょう。

障害者の30代転職に関するFAQ

Q. 30代未経験からプログラマーになれますか?

A. 可能です、ただし努力は必須です。開発職(プログラマー)は狭き門ですが、テストエンジニアやインフラ運用などのIT職であれば、30代未経験からでも就労移行支援経由で多くの採用実績があります。まずはそこから業界に入り、キャリアアップを目指すのが現実的です。

Q. 職業訓練校と就労移行支援、30代にはどっちがいい?

A. 目的によります。失業手当の延長など「金銭的メリット」を重視するなら職業訓練校ですが、期間が短く(3ヶ月程度)、就職サポートが薄い傾向があります。 「確実に就職に繋げたい」「障害特性に合った配慮や定着支援が欲しい」場合は、期間が長くサポートが手厚い就労移行支援の方が、就職後のミスマッチを防げます。

Q. 転職回数が多いのですが、不利になりますか?

A. 不利にはなりますが、説明次第でカバー可能です。回数の多さを隠すのではなく、「なぜ辞めたのか(障害特性とのミスマッチ)」と「次はどう対処するか(自己理解とスキル習得)」をセットで説明できれば、企業は納得します。この「翻訳」作業を一人でやるのは難しいため、支援機関のサポートを活用してください。

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